ハマナスの花の香りを楽しむ午後

北海道の洞爺湖町に移住して、早3ヶ月。来たばかりの4月は、まだストーブを焚いているほど寒く、外の景色も褐色の世界。寒々としていました。

そして、6月を迎え、あちらこちから緑が芽吹き、気持ちもすこしウキウキ。

病気を経験したことで、より深く、体や心の健康に関する情報を集めるようになり、北海道に来てからは、瞑想が日課になりました。

ある日、窓を開けて、瞑想をしていると、ピンク色のきれいな花が咲いていることに気がつきました。

それは、日本原種のバラ科の植物、ハマナス。皆さんは、ご存知ですか?わたしは、ハマナスがこんなに良い香りのバラ、しかも、日本原種のバラだと知ったのは、本当につい最近です。

ハマナスは、古来、精油や漢方薬としても利用されていたといいます。

バラは、朝露の時間が一番、香りがいいといいますが、ハマナスも、朝一番の香りは強め、やわらかなローズらしい香りを、感じます。午後にかけて香りが揮発しているようでした。

北海道は、ハマナスが育ちやすい?

ハマナスの存在を知ったのは、長野県の八ヶ岳の麓にある町、富士見町に住んでいたとき、観賞用ではなく、蒸留用のローズを無農薬で育てておられるアサオカローズさんのオーナー、浅岡さんにお会いしたときでした。このときは、6月の時期に、露地栽培されているローズをつむ体験と、蒸留をさせてもらいました。

以前に、ドイツでアロマセラピーの講座を開講していたとき、どうしても、伝えるために、その香りの原型をみておきたい、バラの聖地に行きたいと、ブルガリアに行ったとき以来、一面のバラの芳香に、うれしくてたまらない気持ちになりました。

何よりも、日本国内でローズを、それも無農薬で育てている方がいるなんてと驚きました。そして、浅岡さんの人柄も経歴もとってもユニークで、10代の頃、単身アメリカに渡り、その後、家業であった観賞用のバラの販売を受け継ぎ、そして、無農薬のバラの栽培へと展開していった話は、とても興味深く、出会えたことにご縁を感じました。

そのときの敷地内に、ハマナスが咲いていて、これが実になるとローズヒップになるのだよと、教えてもらったのです。

ポルトガル製の蒸留機で採れたてのバラを蒸留(八ヶ岳にて)

バラの知識といえば、アロマセラピーに使われる、ダマスクローズくらいしか知らなかった私にとっては、それ以外のローズでも、蒸留水として飲用したり、化粧水に使ったりすることができるのだと、その奥深さに頭がクラクラしたほど。

それから、しばらくして人生初の大病を患い、1年以上療養していました。体も心も辛い日々の中、それでも、私が唯一自主的にしていたことは、不思議と、ハーブを植えたり、花の種をまくことでした。

北海道にきて、一番うれしかったことは、身近に自然がたくさんあること。そして花々が季節を越えて、色とりどりに咲いていること。その中で、ハマナスの花を見つけたときは、あ、あれがあの時のハマナスだ、と子供のように舞い上がってしまいました。

それを皮切りに、洞爺湖周辺の場所のあちらこちらで、ハマナスの花を目にしました。どうやら、北海道は、ハマナスにとってぴったりの気候だそうで。

人生で、はじめて、自分の畑、庭をもつという体験をしているこの年、本当に初心者で困ってしまいますが、レモンバームやミントなど、育てやすいハーブから庭で育てはじめました。

ハマナスのバラを浮かべて、レモンバームとミントちぎり、炭酸水で割って、少しばかりベランダでのんびり。甘さも何も入ってないので、美味しい!という感じではないけれど、ほんのりと香るハマナスとハーブの飲み物は、それだけで、うれしい気持ちになるものです。

 

滋賀県出身、元外資系CA、時色株式会社取締役。イギリスでアロマセラピーを学び、IFPA認定アロマセラピスト取得。四川、バンコク、ドイツで10年暮らし、4ヶ国語(英独中泰)を取得。現在、北海道洞爺湖へ移住。

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